ニュース

FIBAオリンピック世界最終予選 大会第5日目 現地レポート

2012年6月30日

 ロンドンオリンピック世界最終予選 第5日目。予選ラウンドを勝ち進んだ8チームによる準々決勝、勝てばロンドンオリンピック出場が決まる大一番を迎えました。出場枠は8チーム中5チームに与えられ、今日の試合は勝つか負けるか1/2の確率。もし、今日の試合で出場権を獲得できなければ、敗れた4チームがたった1つ残った出場枠を争い、確率は1/4と狭き門となります。8チームそれぞれが強い思いを持って臨むロンドンオリンピック出場権決定戦。あらゆる世界大会でもなかなか味わうことができないプレッシャーの中、ロンドンオリンピックへの切符を賭けた戦いがスタートしました。

 日本は高さで優位なチェコに対してディフェンスを頑張り、相手のシュートの精度を欠く展開ながら、日本のシュートは決まらず、点差を広げられて行った序盤。試合開始から7分30秒が経過した時点でようやくファーストシュートを#11木林選手が決め、日本の得点が動きましたが、4-17とチェコが大量リードを奪い第1ピリオド終了。第2ピリオド開始早々、#6間宮選手の連続ジャンパー、#8田中選手のミドルシュートの3連続得点で、ようやくリズムをつかんだ日本。#10藤原選手の2連続3Pシュートなどで巻き返し、守っては24秒バイオレーションを奪う好ディフェンスで18-29、11点差に縮めて前半終了。

 後半に入り、さらに日本のプレッシャーディフェンスが功を奏して逆襲開始。#13大神選手のシュート、強気でインサイドをアタックした#6間宮選手がファウルをもらい、しっかりとフリースローを決めて30-37、7点差まで迫った第3ピリオド終盤。しかしチェコは要所で3Pシュートを沈め31-43、12点差を追い第4ピリオドへ。序盤こそブロックショットを浴びていた#6間宮選手でしたが、うまく合わせてバスケットカウント。#13大神選手のスティールやチームディフェンスが機能しマイボールにすると、#8田中選手の連続3Pシュート、#11木林選手のポストプレイからの得点で43-46、ついに3点差まで迫りました。しかし、あと一歩のところでチェコにオフェンスリバウンドを獲られてしまい、攻められない日本。最後まで諦めずにディフェンスをしたのですが、リバウンドを獲りきれず、逆にインサイドを攻められ47-53、たった6点差でこの試合でのオリンピック出場は阻まれてしまいました。

 しかし、望みはまだ残っています。敗者復活戦となる4チームによって争われるトーナメントを制せば、ロンドンオリンピック出場が決まります。チェコ戦の試合、そして準決勝に向けたハヤブサジャパンのコメントをご紹介します。

内海 知秀ヘッドコーチ
 第1ピリオドに4点というのは、我々にとっては良いゲームの入り方ではありませんでした。相手の高さを選手たちが意識したのが、4点しか取れなかった要因として大きかったという印象があります。しかし、1試合を通してディフェンスは良くできたと思っています。最後、残り2分からの田中の3Pシュートやリバウンドからのルーズボールだったり、途中までの流れは日本のリズムでしたが、最後の最後に相手側にボールが落ちていき、試合を持って行かれてしまいました。明日、また切り換えてしっかり戦っていきます。

#13 大神 雄子キャプテン(JXサンフラワーズ)
 今日の試合は、第1ピリオドの出だしがうまく行ってれば、ここ一本の勝負どころで決めていれば、一つのリバウンドを獲れていれば、といくらでも“たられば”の話は出てしまいます。しかし、負けた以上は、次につながるゲームだったとプラスに考えます。特にディフェンスからリズムを作れたことは、すごく手応えを感じています。負けたことは事実ですが、まだロンドンオリンピックにつながっているわけですから、自分たちがやれたという気持ちをしっかり信じて、まだ明日の対戦相手はどこになるか分かりませんがしっかり戦いたいです。

#6 間宮 佑圭選手(JXサンフラワーズ)
 オフェンスでは、ベンチからも必要以上に高さを意識しすぎだと言われていました。素直にゴールへ行き過ぎてしまい、ファウルももらえず、簡単にブロックされすぎてしまし、今日は反省面が多いです。しかし、チームとしてひとつひとつトラップをしたり、激しいディフェンスをしたり、みんなが理解して動けていましたし、ディフェンスは良い形でがんばることできました。残り2試合勝つしかないですし、それしかオリンピックへの道はありません。コートでしっかり自分の気持ちを示したいです。これだけ背の高いチームと戦って、今までやってきたドライブがことごとく通用せず、逆に吹っ切れました。ドライブを仕掛けた時に、違うチャンスで打開できるかもしれませんので、次の試合での自分のプレイが楽しみです。

#8 田中 利佳選手(JXサンフラワーズ)
 負けてしまったのは悔しいですが、明日につながる良いゲームはできました。また気持ちを切り換えて明日の試合に臨みます。途中からゲームに入りましたが、その前から吉田や大神が相手を嫌がらせるディフェンスしているのをベンチで見ていましたし、同じように続いてやろうと思っていました。自分たちのディフェンスを相手が嫌がっていたという実感は感じています。

#12 吉田 亜沙美選手(JXサンフラワーズ)
 第1ピリオドで4点しか獲れなかったのが響いてしまった試合となりました。追いついて同点になろうというところでリバウンドが獲れなかったり、センター陣のボックスアウトが疎かになった部分やガード陣がフリースローラインあたりのルーズボールが取れなかった部分がありました。最後はリバウンドを獲れていればもう少し良い流れになっていたと思いますし、良いディフェンスをしていた後のファストブレイクにならなかった部分が勝ちきれなかった点だと思います。ディフェンスはすごく良かったので、最後まで諦めないという気持ちは、今日は出せたと思います。今日の試合はどういう結果になっても、良い形で試合を終えようと話をしていましたし、すごく良い形で終われたと思います。明日の試合では、どこが来ても日本らしいバスケットを出し切っていきたいです。次、負ければ終わるわけですから、本当に死ぬ気で頑張ります。

準々決勝:オリンピック出場権決定戦 全対戦カード結果
クロアチア ○59-56 ● カナダ
チェコ ○53-47 ● 日本
トルコ ○72-58 ● アルゼンチン
フランス ○80-63 ● 韓国
※勝利チームはロンドンオリンピック出場決定

 敗れた4チームは敗者復活戦へと周り、残り1枠を賭けて争われます。準決勝の相手は同じアジアのライバル・韓国との対戦が決まりました。どちらも手の内を知っている同士の対戦であり、いつも日本の行く先を立ち塞ぐ難敵でもあります。チェコ戦で感じた手応えを自信に変え、世界の舞台でリベンジを果たします。これから先は負けた時点でロンドンオリンピックへの道が絶たれてしまいます。
 ロンドンオリンピック出場に対する強い気持ちを相手以上に高く持ち、何がなんでも勝ち取ります。

 なお、この模様はNHK BS1で生放送されます。毎晩、遅い時間となり寝不足気味かもしれませんが、ぜひテレビにてハヤブサジャパンの勇姿をご覧いただき、ご声援を送ってください。応援をよろしくお願いします。