JBA

JBA

現地レポート

JX-ENEOSウインターカップ2014 総括 ~はじまりの合図~ RSS

2014年12月30日 17時13分

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

JX-ENEOSウインターカップ2014の閉幕から一夜明け、新聞、インターネット、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)などを見て、改めて熱い決勝戦だった感じている人も多くはないのだろうか。しかし決勝戦だけではない。3位決定戦も十分に見ごたえのあるゲームで、それ以前の6日間にもそれぞれに素晴らしいドラマを生み出していた。

宮城・明成⑧八村 塁(写真右)と、福岡・福岡大学附属大濠⑧牧 隼利(写真中央)のライバルストーリーは続く

宮城・明成⑧八村 塁(写真右)と、福岡・福岡大学附属大濠⑧牧 隼利(写真中央)のライバルストーリーは続く

男子決勝戦の最後、福岡大学附属大濠の#8牧 隼利がダンクシュートへ行くのを、明成のエース#8八村 塁がブロック。多くの観客に包まれた東京体育館は歓声が湧き上がり、鳥肌が立った場面だ。

そのシーンを当人たちに振り返ってもらうと、同点の場面でダンクシュートを狙った牧はこう言っている。
「上からたたき込むつもりでダンクを狙ったのですが、塁にブロックされてしまって…それまでは塁の上を超すようなシュートを打ってきましたが、あの場面ではそれをやるつもりはありませんでした。ブロックされましたが、その判断に悔いはありません。塁を超えなければ日本一はありませんから」
そう熱く語る牧に対して、八村は冷静だった。
「それまでヘッジディフェンスをしていたので、あの場面は牧が攻めてくるだろうと思っていました。シュートに持ち込む姿勢がそれまでと少し違っていたので、浮かすシュートではないと思って、いつもより高く飛んでブロックをしました」
牧の熱さが八村の冷静さに敗れた、と言うつもりはない。2人の勝利に向かう本気さは、熱や冷静といったものを超えた、最高の瞬間を生み出したのだ。
しかも2人はともに2年生である。このライバルストーリーはもう1年続くわけで、楽しみである。

1年次から主力として活躍した愛媛・聖カタリナ女子⑥木村 珠貴

1年次から主力として活躍した愛媛・聖カタリナ女子⑥木村 珠貴

楽しみなのは下級生の今後だけではない。3年生もまた、今大会を通過点にして、次のステージに向かう。
女子の3位に終わった愛媛・聖カタリナ女子の#6木村 珠貴は関東の大学に進学する予定だ。
「将来は指導者になりたいので、大学の4年間でそうした知識を蓄えたい。そして、もし誘いがあれば、Wリーグでもプレイしたい」
高校3年間をともにチームの主力として過ごした#5曽我部 奈央、#7篠原 華実は一足先にWリーグに進むそうだ。
「これまで言い合いをするなど衝突もありました。でも刺激し合って成長してきた」という2人とは別の道を歩むことになるが、5年後にまた同じ舞台でプレイできる可能性は十分にある。その道は決して遠まわりではない。

チームに熱さを伝え続けた千葉・船橋市立船橋⑦青木 太一

チームに熱さを伝え続けた千葉・船橋市立船橋⑦青木 太一

同じく男子の3位に終わった千葉・船橋市立船橋の#7青木 太一もまた、関東大学1部に属する大学に進学をするそうだ。
「大学ではポジションが上がると思うので、まずはアウトサイドのプレイをもっと覚えなければいけません。でも飛び込みリバウンドの姿勢は変えずに、チームの起爆剤になれるように頑張ります。そしてできればトップリーグでプレイし、日本代表にも入れたらいいですね」
185センチという上背は決して大きくない。トップリーグや日本代表でいえばポイントガードクラスの身長である。ただ彼のようなフィジカルコンタクトをいとわない選手は、アジアをはじめとした国際大会で日本に必要不可欠な存在である。彼の成長にも期待したい。

むろん木村や青木だけではない。JX-ENEOSウインターカップ2014に出場した選手はこの経験を糧に、出場できなかった選手はその悔しさをバネに、さらなるステップアップを図ってほしい。
ウインターカップ終了のブザーは、はじまりの合図である。

[ 記事URL ]

陰日向に咲く RSS

2014年12月29日 18時06分

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

どちらが勝ってもおかしくなかった。ただ最後の最後、勝敗を分ける時間帯にエースがエースとしての活躍をした。それが宮城・明成の勝因と言えるだろう。

ウインターカップ2014を制した宮城・明成

ウインターカップ2014を制した宮城・明成

ウインターカップ2014は明成が福岡・福岡大学附属大濠を【71-69】で破り、2年連続3回目の優勝を果たした。佐藤 久夫コーチは記者会見で「なぜ勝てたのか、まだ解明できていません。ただ1本のシュート、一つのリバウンド、1回のディフェンスで選手たちが本当の集中力を見せてくれたことが、最後に2点差の勝利につながったのだと思います」と語る。

明成は大黒柱の#8八村 塁が31得点・18リバウンド、八村と同じく男子U-17日本代表に選ばれた#6納見 悠仁が14得点、そして福岡大附大濠の徹底マークに苦しんだシューターの#10三上 侑希も16得点・10リバウンドを挙げている。
しかし明成の2連覇は彼ら3本柱の力だけで成し遂げたものではない。パワーフォワードの#9足立 翔の存在がチームに与える影響は大きい。決勝戦でも10得点・10リバウンドのダブルダブルを達成している。
決して目立つ存在ではない。佐藤コーチも「一言でいえばリバウンドだけの選手。強いてもう一つ挙げるとすればディフェンスかな」と評する。しかし一方で「みんなが彼に助けられている」とも認める。
「我々のころは『バスケットは5本の指でやるものだ』と教わったものだよ。親指はポイントガード、人差し指はシューティングガードというように、それぞれの指にそれぞれにポジションと役割を模しているわけだな。それで言うと、人差し指は納見、中指は八村、薬指は三上だよ。親指は増子(優騎)で、小指が足立だ。そしてチームは親指と小指で支えるものだと教えられたんだ」
佐藤コーチはつまり、当時の教えを今も念頭に置きながら、チーム作りをしている。そしてその“小指”が、決勝戦でもいい仕事をしたわけだ。

ゲーム開始から福岡大学附属大濠は、八村と三上を徹底的に守りに出た。その隙を狙ったかのようにゲームは足立のジャンプシュートで始まっている。明成の4点目、つまり2本目のシュートも足立が決めている。
「自分のディフェンスが八村に寄っていて、目の前を空けられているなと。だったら自分が決めようと思って打ちました」
足立は序盤の連続得点をそう語る。ただ佐藤コーチも言うように、決してシュートがうまい選手ではない。蛇足的に言えば、パスもドリブルも上手ではないらしい。そんな選手が連続してシュートを決めたのは「決めてやるという気持ち」だけだった。

最後まで泥臭いプレイを続けた明成⑨足立 翔(写真右)

最後まで泥臭いプレイを続けた明成⑨足立 翔(写真右)

だが、リズムに乗って大量得点を取るタイプでないことは、上記のとおり。その後のリバウンドやルーズボールで力を発揮する。「久夫先生からは『リングより上のボールは八村が、下のボールは足立がすべて取れ』と言われている」と、彼自身も自らの役割を十分に理解している。
「(八村、納見、三上の)3人は自分からすればスターなんです。だから自分は彼らを支える土台になろうと思っています。縁の下の力持ちとして、彼らが落としたシュートのリバウンドを拾うことだけを考えていました」

インサイドでコンビを組む八村も、足立のことを「信頼している」と言う。
「僕のミスをカバーしてくれるし、リバウンドで大きな仕事をしてくれる。強い気持ちも持って、いつもハッスルしてくれるので、僕は足立から元気をもらっています」
その足立から受けた元気が、八村の逆転のタップシュートを生んだともいえる。

JX-ENEOSウインターカップ2014の男子は明成の連覇で終わったが、彼らはまだ2年生。もう1年、今度は3連覇を狙うチャンスを得ている。足立は言う。
「八村のところにディフェンスを寄らせないためにもアウトサイドのシュート力を磨きたい。そしてフィジカル面でも留学生を抑えられるだけのパワーを身につけていきたいです」

強く輝く光のそばにはいつも、その存在意義を示す濃い影がある。影が力を発揮するチームは、強い。

 

優勝の瞬間、飛びあがって喜ぶ足立

優勝の瞬間、飛びあがって喜ぶ足立

[ 記事URL ]

桜、アゲイン RSS

2014年12月28日 19時48分

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

「自分たちのプレイができず、ディフェンスもダメでした。対策は練ってきたのですが、予想外のことをされて、みんな戸惑ってしまいました。自分もミスが多かったし…」
愛知・桜丘の司令塔・#16高橋 理輝は、試合をそう振り返る。初の決勝進出を狙った桜丘だったが、宮城・明成の強固なディフェンスを上回ることができなかった。ファイナルスコアは【52-75】、完敗である。

宮城・明成のゾーンディフェンスに苦しんだ、愛知・桜丘⑯高橋 理輝

宮城・明成のゾーンディフェンスに苦しんだ、愛知・桜丘⑯高橋 理輝

「ゾーンディフェンスは想像していたのですが、思っていたものとは違うものでした」と高橋は言う。
「ウチのオフェンスの中心はモッチ(ラミーン)と、両ウイングなんです。でもモッチは八村(塁)にやられていたし、ウイングで攻めようと思っても、明成はそれも警戒していたのか、手を伸ばして守ってきたので、うまくパスを回すことができませんでした」
チームをベスト4まで導いてきた高橋のコントロールが、明成の激しい守りに狂わされてしまったのである。

インターハイ以降、マンツーマンに対する準備は十分にしてきた。今年9月には日本航空JALラビッツ等で指揮を執っていた林 永甫氏をアシスタントコーチに招へいし、スクリーンプレイなどの練習をしてきた。モッチの高さだけに頼らない攻撃の幅を広げようとしたわけだ。
しかしウインターカップで対戦する相手は、モッチの高さを嫌がったのか、ことごとくゾーンディフェンスを敷いてくる。むろんその準備もしてきていたが、もう一つ上のレベルでの準備まではしきれていなかった。

予想外のことはゾーンディフェンスだけではないと、高橋は言う。
「明成のリバウンドへの飛び込みや速攻の速さ、シュートレンジの広さも僕たちの予想を超えていました」
それこそが、同じ2年生といえども、日本一を狙うチームの強さなのである。

高さのない桜丘の大黒柱、⑩モッチ ラミーン

高さのない桜丘の大黒柱、⑩モッチ ラミーン

それを知れただけでも桜丘にとっては大きなプラスだろう。なぜなら高橋やモッチら、桜丘のスタメンもすべて2年生だからである。来年にこの経験を生かすことができる。
江崎 悟コーチも「私が指導し始めて10年になりますが、サイズは小さいけれども、これまでで一番いい素質の選手たちです」と認める。そのうえで「サイズをカバーするだけのメンタリティーを身につけなければいけない」と、課題も忘れていない。
高橋もまた、ウインターカップの経験をこう言っている。
「僕たちに対して、前から当たってくるチームは、愛知県では決勝戦くらいなんです。でも全国ではほとんどのチームが前から当たってくるので、そういうチームに対するオフェンスの組み立てや、ダメになったときの修正の仕方などを経験できたことは大きいと思います。またウインターカップのメインコートは、インターハイと雰囲気が違うし、本当にいい経験ができていると思います」

経験は十分に生かすべきだが、一方でまだ明日には3位決定戦が待っている。気持ちをきらすわけにはいかない。相手は千葉・船橋市立船橋である。
「モッチの高さをうまく使いながら、運動量で勝ちたい」
高橋はそう意気込みを語るが、運動量での勝負は船橋市立船橋も望むところだろう。明日は10時00分ティップオフの3位決定戦も見逃せない。

[ 記事URL ]