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現地レポート

桜咲き、さくらが散って、ひまわりの時代へ RSS

2014年12月28日 17時42分

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ウインターカップ2014の女王は、愛知・桜花学園に決まった。序盤からペースを掴むと、終盤に追い上げられたものの、巧みなゲームコントロールで千葉・昭和学院を【72-67】で破った。これでウインターカップは3年連続の優勝で、高校総体、国体と合わせると2年連続の「高校3冠」となる。

敗れた昭和学院はエース・#12赤穂 さくらが19得点を挙げたが、得点ほどのインパクトを与えることはできなかった。桜花学園が徹底したディフェンスで赤穂 さくらを守ったことが最大の要因だが、昭和学院のアウトサイド陣もうまくボールを入れることができなかった。チームを率いる鈴木 親光コーチも「赤穂さくらで攻めたかったのですが、桜花学園のディフェンスにアジャストされて、ボールが入らなかったことが敗因の一つです」と認めている。

体を張り続けた千葉・昭和学院⑫赤穂 さくら

体を張り続けた千葉・昭和学院⑫赤穂 さくら

特に第3ピリオド、桜花学園の1年生センター#15馬瓜ステファニーがファウルトラブルに陥ったときに、得点を伸ばすことができなかった。鈴木コーチも「ウチの習性として、困ったときに『さくら頼み』になってしまう。それでも無理やりボールを入れようとして、外回りの足が止まってしまった」と悔やむ。
赤穂さくら本人も「あの場面は攻めたくて、攻めたくてしょうがなかった」と振り返る。
「でも桜花学園のディフェンスが上手で、アウトサイドの選手にプレッシャーをかけてきたので、自分が外でつないでしまった」
終盤の猛追を考えれば、あの第3ピリオドの約4分が、最終的な勝敗を分けたといってもいい。

それでも#12赤穂 さくらは3年間で大きく成長した。今年度はアジア競技大会の女子日本代表チームにも選ばれ、今日の決勝戦では3Pシュートも決めている。桜花学園のディフェンスにフラストレーションを溜め、冷静さを欠いたことは、この次のステージでクリアにしていけばいい。

高校で優勝できなかった悔しさは、妹のひまわりが引き継ぐ。

姉・さくらの思いは、妹のひまわり(写真左)が引き継ぐ

姉・さくらの思いは、妹のひまわり(写真左)が引き継ぐ

さくらはひまわりについて、「来年はひまわりがエースになると思うけど、気負いすぎずに自分のプレイをしてほしいです。私は今日の決勝戦で気負いすぎてしまったので…」と笑顔でエールを送る。
それを受けるひまわりは、さくらから「大事なところは自分で決めきるという気持ちを学びました」と言う。姉同様、早い段階から年代別の日本代表に入り、海外遠征なども経験している。鈴木コーチも日ごと成長するひまわりに目を見張るほどだ。
今日の決勝戦では、こちらも姉同様、桜花学園のディフェンスに感情をうまくコントロールできなかったが、それを高校時代に克服できれば、姉を越えることも十分に可能である。

愛知の桜は今冬も咲いたが、千葉の桜はついに咲くことがなかった。しかしまだ、千葉にはひまわりの芽が残されている。

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メインコートに散る RSS

2014年12月27日 21時15分

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壁は高ければ高いほうが、乗り越えたときに気持ちがいいと歌ったのは誰だったか。準々決勝で敗れた新潟・帝京長岡にとっても、茨城・土浦日本大学にとっても、ベスト4の壁は高かった。乗り越えるのは来年以降に持ち越しである。

宮城・明成に【51-84】で敗れた帝京長岡の柴田 勲コーチは「(明成は)そつがない。シュートの精度が高く、リバウンドも強い。全てにおいてレベルが高い」と完敗を認める。それでも#14タヒロウ ディアベイトを含めて、主力に下級生が多くいたことは、来年以降の収穫でもある。
「私が言うよりも、自分たちで肌を合わせる体験をしないとわからないこともある。明成と対戦したことで、シュートの精度や彼らを守るための脚力など、今日感じたことを同級生や下級生に伝えてほしい」
そうすることが、いまや激戦区となった新潟県を勝ち抜き、さらに全国でもトップクラスに入るためには欠かせないというわけだ。

ドライブを決める新潟・帝京長岡⑧高橋 陸

ドライブを決める新潟・帝京長岡⑧高橋 陸

2年生ガードの#8高橋 陸にとっても、ディフェンディングチャンピオンの明成と対戦できた経験は大きい。
「同じ2年生だし、負けたくない気持ちはありました。ただ明成のほうが一つ上でした。来年は、自分の持ち味であるスピードを生かしたプレイがいつでもできるようにしたい。そしてもう一つ上、二つ上のチームを作っていきたいです」
ウインターカップ初出場の帝京長岡にとって、この敗戦は終わりではなく始まりなのだ。

土浦日本大学は愛知・桜丘に勝てば、その明成と対戦できるところにいた。だが結果は【62-81】と、こちらも完敗であった。チームを率いる佐藤 豊コーチも「相手のほうが一つ上だった」と認める。そのうえで選手たちにこう告げていた。
「1、2年生は明日からまた立て直すぞ。3年生がベスト8まで導いてくれた経験を生かして、来年こそ頑張るんだぞ…頑張ろうぜ」

桜丘のセンター、#10モッチ ラミーンとマッチアップした土浦日本大学の#5平岩 玄は「ゴール下でプレイさせないようにしようとしたのですが、力が足りませんでした。簡単にやられてしまいました」と悔し涙を流す。
課題を聞くと、ハイポストからのドライブや、その周辺のジャンプシュートをもっと徹底的に覚えなければいけないと言う。ディフェンスでも、土浦日本大学が得意とするゾーンディフェンスで、もっと足を動かさなければならない。むろんモッチ ラミーンに対して当たり負けしたフィジカルについても「全然足りないです」と認める。そしてこう続けるのだ。
「留学生に対するフィジカルコンタクトが普通にできないと、塁(ルイ)は止められない」

茨城・土浦日本大学⑤平岩 玄は、まだまだ発展途上のセンターだ

茨城・土浦日本大学⑤平岩 玄は、まだまだ発展途上のセンターだ

「ルイ」とは明成の#8八村 塁である。男子U-17日本代表のチームメイトであり、平岩が追いかけている存在でもある。留学生に敵わなければ、八村には到底及ばないと、平岩は考えるわけだ。
「今日勝って、(明日)ルイとマッチアップしたかった。今の自分がどれくらいやれるのか、試してみたかった」
ライバルとして同じコートに立てるかどうかは、これからの平岩次第である。八村をも脅かす存在になれば、チームもおのずとベスト4の壁を突破できるだろう。

明成と直接対戦して、勝利に届かなかった帝京長岡。明成と対戦する直前に敗れ、明成まで辿り着けなかった土浦日本大学。大会はあと2日続くが、来年の勢力図が少し見えてきた気がする。
メインコートに散り、敗れた者の新たな挑戦は、その翌日からはじまる。

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苦しみの先にある熟成 RSS

2014年12月27日 17時11分

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勝負の世界で注目されることは、すなわちマークが厳しくなることでもある。それはわかっていたはずだ。わかっていたはずなのだが、やはりコートの上では苦しんでしまう。それがウインターカップをして「真の高校日本一を決める大会」と言わしめるゆえんなのだろう。苦しんだ先に、その称号はある。

福岡・福岡大学附属大濠が苦しみながら、勝ち進んでいる。ベスト4をかけた準々決勝でも秋田・県立能代工業に粘られながら【94-84】で勝っている。
試合後、福岡大学附属大濠の片峯 聡太コーチはこう言っている。
「今日はお互い伝統校同士、意地と意地のぶつかりあいでもありました。お互いがやってきたことをどこまで出せるか。我々の持ち味は1対1だし、県立能代工業はディフェンスからファストブレイク。そのどちらが強いのかを見せるゲームでもありました。内容としては濃くないものだったかもしれませんが、意味のあるゲームだったと思います」
生みの苦しみを知る古豪同士の戦いは、先に苦しみから抜け出した福岡大学附属大濠に軍配が上がったというわけだ。

ゴールにアタックする福岡・福岡大学附属大濠④鳥羽 陽介

ゴールにアタックする福岡・福岡大学附属大濠④鳥羽 陽介

大会を通して苦しんでいる理由については、片峯コーチもエースの#13津山 尚大も、そしてキャプテンの#4鳥羽 陽介さえも、「マークが厳しくなって、やりたいことをやらせてもらえない」と口を揃える。そのうえで鳥羽はこうも言っている。
「自分たちのバスケットは5人にそれぞれの役割があるのですが、1、2回戦ではそれにバラつきがあったように思います」
個々の役割を徹することで機能するチームが、優勝への気負いからなのか、それともマークの厳しさへの嫌気からなのか、その意識にずれが生じていたというのだ。
「今日の能代工業戦も、最初は相手の名前を意識しすぎていたところがありました。でも抑えるポイントのディフェンスをすることで、徐々に5人の役割を徹底できてきたように思います。だから、たとえ点差を詰められても焦ることなく、逆に突き放すことができたんです」
徐々にだが、自分たちのバスケットを取り戻しつつあるのだろう。

ディフェンスでもチームを引っ張る福岡大学附属大濠⑬津山 尚大

ディフェンスでもチームを引っ張る福岡大学附属大濠⑬津山 尚大

ディフェンスでの我慢はまた、津山も認めるところだ。
「夏までは流れが悪いとうまく切り替えられなかったのですが、今はディフェンスで我慢をして流れを掴むつかむことができるようになりました」
ディフェンスをベースにする福岡大学附属濠のバスケットが、ようやく形になってきたことも、苦しみながら勝っている要因である。

チーム全体の雰囲気も悪くない。タイトルにこだわることなく、大会を楽しめていると鳥羽は認める。そのうえで準決勝以降について、意気込みをこう語る。
「これまでの3戦は重たい雰囲気でしたが、少しずつ良さも出てきています。あと二つ、悪いところは修正して、いいところは伸ばしていきたい。そして自分たちらしいバスケットを熟成させて、優勝したいです」
ウインターカップ制覇までの険しい道は続くが、完熟の福岡大附大濠を見せつけるまで、その道から降りるわけにはいかない。

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