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現地レポート

ケガが強めた絆のラストゲーム RSS

2014年12月23日 14時22分

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ケガを言い訳にするつもりはない。
それはどのチームにだって、ありうることだからだ。
それでも山口・慶進は今年、ケガに泣かされた。昨年度は3回戦まで進んだが、今大会は初戦敗退となった。

ケガを押してコートに立った、山口・慶進④荒川 紗笑子

ケガを押してコートに立った、山口・慶進④荒川 紗笑子

「インターハイの山口県予選の決勝から狂い始めました」とチームを率いる村谷 勉コーチは言う。開始1分30秒でエースの池本 朱里が右ヒザの前十字靭帯を断裂してしまったのだ。どうにか出場権を手に入れたインターハイはおろか、今大会にも出場は叶わなかった。

不運は連鎖する。
キャプテンの荒川 紗笑子が国体予選の前に、こちらも右ヒザの前十字靭帯を“再”断裂してしまったのだ。今大会は靭帯が切れたままでの出場となった。

「大学ではもうバスケットをしないと決めていたので、この大会が最後のバスケットになります。もしかしたら1回戦がラストゲームになるかもしれないとも思っていたので、靭帯が切れているとか関係なく、思い切りプレイしたかったんです。でも自分のことより、池本がケガをして、マネージャーの子もミニバスから一緒にやってきたけど、彼女もケガでプレイができなくなった。そういう子たちのためにも全力でプレイしようと思って、コートに立ちました」

最後までゴールに向かい続けた、山口・慶進⑤藤井 園子

最後までゴールに向かい続けた、山口・慶進⑤藤井 園子

エースを失ったうえに、キャプテンまでもが万全でない慶進。
そんななかで奮闘したのが、ガードの藤井 園子だった。チームとしては、石川・県立津幡に対して52得点しか挙げられなかったが、そのうち17点を藤井が叩きだしている。

「自分はずっと人任せにする性格でした。でも今年はチームを引っ張るエースもキャプテンもいない。いつも頼りっぱなしだった2人がケガで思い切りプレイできないのだから、最後は自分が全力でプレイをしようと思ってゴールに向かいました」

ケガの功名とでもいうべきか、エースとキャプテンのケガで1人の3年生が、最後の最後で成長の扉を開いたわけである。

コートサイドで最後まで応援を続けた池本が言う。

最後のウインターカップを応援席で迎えた山口・慶進の池本 朱里(前列右から3番目)

最後のウインターカップを応援席で迎えた山口・慶進の池本 朱里(前列右から3番目)

「私は中学のとき、チームメイトと決してうまくやれていなかったんです。でも慶進は本当に仲が良くて、大好きなチームでした。だから最後まで全員に笑ってプレイしてもらいたくて、勝っても負けても悔いのないように応援しました。特に荒川と藤井は毎日のように『ケイ(池本のコートネーム)のため頑張る』って言ってくれたので、だったら私は最後まで彼女たちを全力でサポートしようって思ったんです。だから2人がボールを持ったときは、特に熱く応援しちゃいましたね」

荒川と藤井の存在が、エースを笑顔で応援に回らせる、最後の決断理由になったのだろう。ただ、話が2人に向くとそれまで笑顔で話していた池本の目から、涙があふれ出した。

最後のウインターカップはクリスマス前に終わってしまったが、この3年間でかけがえのない友という、人生最高のプレゼントを得た。
池本は関東の大学でバスケットを続ける予定だ。藤井もまた、地元の大学に進学し、バスケットを続ける。さまざまな思い出を胸に、3人はそれぞれの道を歩き出す。

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