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現地レポート

貫いた尽誠バスケの逆転劇 RSS

2014年12月24日 23時32分

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「先生はいつも僕たちのことを本気で見てくれます。細かい性格まで考えて、言葉もかけてくれるので、僕たちは先生を絶対的に信じています」
キャプテンの#4高橋 龍斗が表現するその信頼感こそが、第3ピリオド残り6分、ビハインドが13点に開いたときにとったタイムアウトで「この点差でよく止まっている。まだ大丈夫」という色摩 拓也コーチの言葉を、信じる根幹になったのだろう。
香川・尽誠学園が、静岡・藤枝明誠に【69-65】で逆転勝ちをした試合である。

第4ピリオド、逆転のバスケットカウントを決めた香川・尽誠学園④高橋 龍斗

第4ピリオド、逆転のバスケットカウントを決めた香川・尽誠学園④高橋 龍斗

色摩コーチは勝因についてこう言っている。
「ウチがいつもやっているバスケットが出ました。これは渡邊(雄太選手。現・ジョージワシントン大学 1年)がいたころとベースはまったく変わっていないものです」
渡邊を擁し第42回大会、第43回大会と連続準優勝を果たしたチームとは、サイズも選手の特長もまったく異なる。しかしディフェンス、ルーズボール、リバウンドといった泥臭いことを全員が厭わないプレイスタイルは不変だ。それが相手チームを苦しめていく。
藤枝明誠も同じ感覚だったのではないだろうか。リードをしていても、どこかリードしている感覚がない。じわりじわりと詰め寄ってくる尽誠学園に、ある種の恐怖感を抱いていたかもしれない。いや、それに気づかなかったから、逆転を許したのかもしれない。

超高校級スコアラーの#4角野 亮伍をはじめ、個々を見れば「藤枝明誠のほうが能力は高い」と色摩コーチも認める。しかし色摩流の選手起用法は「自チームの選手のいいところを見て、相手チームの弱いところに当てはめていく」ものだ。だから「明日も今日と同じスタメンになるかどうかはわからない」のだと笑う。
藤枝明誠戦に関して言えば、彼らはプレスディフェンスを仕掛けてくるチームではない。となれば、リバウンド勝負になるはずだから、突破力のあるガードよりも体の強い選手を使おう。その考えがズバリと的中する。チーム平均身長で6センチ以上高い藤枝明誠に対して、尽誠学園がリバウンド総数で【51-39】と圧倒する要因になったのだ。しかも51本中27本がオフェンスリバウンドなのである。
戦術的な勝因がリバウンドであったことは、その数字からも間違いない。ただ、なぜサイズの小さい尽誠学園がリバウンドで勝てたかといえば、冒頭のコメントどおり、選手たちがコーチの言葉を信じたからだ。高橋が言う。
「対戦相手が藤枝明誠に決まってから毎日、先生に『リバウンドとルーズボールで負けたらゲームにならない』と言われてきました。だから練習中もずっと意識していたし、今日のゲームでもリバウンドとルーズボールの意識を40分保つことができて、勝ちにつながったのだと思います」

ベンチも含めた全員で逆転劇を生み出した尽誠学園

ベンチも含めた全員で逆転劇を生み出した尽誠学園

そしてそれは、高橋たちが1年生のときに3年生だった渡邊選手たちの練習姿勢を見てきて、感じたことでもあるという。
「ゲームを見て学ぶこともたくさんありましたが、それよりもゲームまでの練習の意識の高さを一番学びました」
それについて、色摩コーチはこう付け加える。
「その渡邊さえも、先輩たちの財産を受け継いで成長してきました。『自分のために、みんなのために』という気持ちが尽誠学園の強みなんだと思います」
先輩から受け継いだ財産を、自分たちの代で生かし、また次の後輩たちに託していく。
身長や技術、戦術だけではない、そうした財産の継承も高校バスケットでは大きな武器となる。

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