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現地レポート

陰日向に咲く RSS

2014年12月29日 18時06分

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どちらが勝ってもおかしくなかった。ただ最後の最後、勝敗を分ける時間帯にエースがエースとしての活躍をした。それが宮城・明成の勝因と言えるだろう。

ウインターカップ2014を制した宮城・明成

ウインターカップ2014を制した宮城・明成

ウインターカップ2014は明成が福岡・福岡大学附属大濠を【71-69】で破り、2年連続3回目の優勝を果たした。佐藤 久夫コーチは記者会見で「なぜ勝てたのか、まだ解明できていません。ただ1本のシュート、一つのリバウンド、1回のディフェンスで選手たちが本当の集中力を見せてくれたことが、最後に2点差の勝利につながったのだと思います」と語る。

明成は大黒柱の#8八村 塁が31得点・18リバウンド、八村と同じく男子U-17日本代表に選ばれた#6納見 悠仁が14得点、そして福岡大附大濠の徹底マークに苦しんだシューターの#10三上 侑希も16得点・10リバウンドを挙げている。
しかし明成の2連覇は彼ら3本柱の力だけで成し遂げたものではない。パワーフォワードの#9足立 翔の存在がチームに与える影響は大きい。決勝戦でも10得点・10リバウンドのダブルダブルを達成している。
決して目立つ存在ではない。佐藤コーチも「一言でいえばリバウンドだけの選手。強いてもう一つ挙げるとすればディフェンスかな」と評する。しかし一方で「みんなが彼に助けられている」とも認める。
「我々のころは『バスケットは5本の指でやるものだ』と教わったものだよ。親指はポイントガード、人差し指はシューティングガードというように、それぞれの指にそれぞれにポジションと役割を模しているわけだな。それで言うと、人差し指は納見、中指は八村、薬指は三上だよ。親指は増子(優騎)で、小指が足立だ。そしてチームは親指と小指で支えるものだと教えられたんだ」
佐藤コーチはつまり、当時の教えを今も念頭に置きながら、チーム作りをしている。そしてその“小指”が、決勝戦でもいい仕事をしたわけだ。

ゲーム開始から福岡大学附属大濠は、八村と三上を徹底的に守りに出た。その隙を狙ったかのようにゲームは足立のジャンプシュートで始まっている。明成の4点目、つまり2本目のシュートも足立が決めている。
「自分のディフェンスが八村に寄っていて、目の前を空けられているなと。だったら自分が決めようと思って打ちました」
足立は序盤の連続得点をそう語る。ただ佐藤コーチも言うように、決してシュートがうまい選手ではない。蛇足的に言えば、パスもドリブルも上手ではないらしい。そんな選手が連続してシュートを決めたのは「決めてやるという気持ち」だけだった。

最後まで泥臭いプレイを続けた明成⑨足立 翔(写真右)

最後まで泥臭いプレイを続けた明成⑨足立 翔(写真右)

だが、リズムに乗って大量得点を取るタイプでないことは、上記のとおり。その後のリバウンドやルーズボールで力を発揮する。「久夫先生からは『リングより上のボールは八村が、下のボールは足立がすべて取れ』と言われている」と、彼自身も自らの役割を十分に理解している。
「(八村、納見、三上の)3人は自分からすればスターなんです。だから自分は彼らを支える土台になろうと思っています。縁の下の力持ちとして、彼らが落としたシュートのリバウンドを拾うことだけを考えていました」

インサイドでコンビを組む八村も、足立のことを「信頼している」と言う。
「僕のミスをカバーしてくれるし、リバウンドで大きな仕事をしてくれる。強い気持ちも持って、いつもハッスルしてくれるので、僕は足立から元気をもらっています」
その足立から受けた元気が、八村の逆転のタップシュートを生んだともいえる。

JX-ENEOSウインターカップ2014の男子は明成の連覇で終わったが、彼らはまだ2年生。もう1年、今度は3連覇を狙うチャンスを得ている。足立は言う。
「八村のところにディフェンスを寄らせないためにもアウトサイドのシュート力を磨きたい。そしてフィジカル面でも留学生を抑えられるだけのパワーを身につけていきたいです」

強く輝く光のそばにはいつも、その存在意義を示す濃い影がある。影が力を発揮するチームは、強い。

 

優勝の瞬間、飛びあがって喜ぶ足立

優勝の瞬間、飛びあがって喜ぶ足立

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